延命草について

延命草とは


ヒキオコシ

延命草はシソ科ヤマハッカ属の植物で、
和名としてヒキオコシ(引起)、
カメバヒキオコシ(亀葉引起)、
クロバナヒキオコシ(黒花引起)
とよばれるものを総称した生薬名です。

ヒキオコシは本州、四国、九州の乾いた日の当たる山野に自生し、カメバヒキオコシは東北地方南部、関東地方、中部地方の山野に、クロバナヒキオコシは近畿地方以北の北陸地方、東北地方、北海道地方の日本海側の比較的寒い地域に自生する多年草です。


カメバヒキオコシ

 

延命草の名の由来は、その昔、弘法大師が山を歩いていると一人の行者が倒れていて、それを見つけた弘法大師がこの草を行者の口に含ませたところ、その行者はたちどころに元気をとりもどしたという故事により、この草を「引き起こし(ヒキオコシ)」と呼び、起死回生の妙薬として延命草と名付けたとされています。 [「和漢三才図会(巻第93芳草類中)」1713年 寺島良安 著より]

 

クロバナヒキオコシ
クロバナヒキオコシ

このように昔から、腹痛・胃痛・健胃・整腸等の民間薬として使われてきた延命草ですが、その成分の研究が本格的におこなわれるようになったのは、昭和の中頃からです(千葉大・京都大等)これらにより延命草に含まれる苦味成分よりテルペン系のプレクトランチン、エンメインオリドニンなどが発見され、薬理試験で抗菌作用と抗腫瘍作用が認められました。なかでも昭和57年、京都大化学研究所が発表した、クロバナヒキオコシより発見したトリコラブダールの抗腫瘍作用は広く社会の関心を集めました。